「好きな200枚」なんてのを思いつくまま選んでいったら、天パーさん(http://www.geocities.jp/tenpa_200x/)から「アーチー・シェップの同じアルバム2枚選んでますよ」なんてご指摘を受けてしまいました。ありゃりゃ、これはどうしたことか。別にリストなんて正確に作ってるわけじゃないから、まちがえてダブって選出してしまったというわけでしょう。まぁ、2回も思いついたんだから、それほど好きなアルバムなんでしょう。

というわけで、思い出したようにシェップのアルバムを聴いています。特に70年代初頭のインパルス時代がすごいんですね、どれも。「200枚」に選んだシェップの「アッティカ・ブルーズ」('72)は以前「ショック太郎」の日記で取り上げたので(http://www2.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=168425&log=20021105)今回は、別なアルバムをピック・アップしましょう。「変転の時(Things Have Got To Change)」('71)です。

すごいですよこれ。A面まるまる1曲の超大作「マネー・ブルース」は、驚異のワン・コードで泥沼のようにギトギトしたジャズ・ファンクをバックに、混声合唱団が「♪働いた〜金くれ〜」と、同じフレーズを延々ループしているという(笑)。B面のタイトル曲はハチロクのアフロ・ジャズみたいなのをバックに、頭痛のようなムーグ・シンセが無調で鳴りつづけているというとんでもないもの。

インパルスのサックス奏者といっても決してコルトレーンのようにはならない。いやコルトレーンも「オム」とか、そういう変なアルバムたくさんあるんだけど、どうもシェップの場合、どこか収まりが悪いというか、シリアスなメッセージを受け止めてしまう前に「この人、何考えてるの?」と思わざるをえない、独特の破綻美があるんですねぇ。要するにハッタリなんですけどね。でもジャズなんて、それ自体がハッタリみたいなジャンルですから、この際シェップ独特の美学に酔いしれるしかありませんね。

要するに、この時期のシェップは変なフリー・ジャズです。変といっても難解というじゃなくて、思い余って破綻しているという感じでしょうか。キャプテン・ビーフハートのアルバム・タイトルじゃないけど、まさしく「美は乱調にあり」って感じですね。だから、それこそビーフハートフランク・ザッパ、あるいはドイツあたりのプログレ(CANとかアモン・デュール)なんかのファンの方にアピールするものがあるんじゃないでしょうかね。そういえばザッパのライブ盤でシェップが参加しソロを吹いているテイクがあります。さすがザッパ!わかってますねぇ〜。

本日の更新

「ショック太郎のマテリアル・ワールド」でローラ・ニーロを取り上げました。
http://www2.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=168425&log=20050203