友達なのか敵なのか(Friend Or Foe?)。そんな意味深なタイトルの12シングル2枚、80年代半ばに発表した細野晴臣のプロジェクト、それがF・O・E(Friend Of Earth)でした。キーワードはオーバー・ザ・トップ(O・T・T)。日本語にしたら「やり過ぎ」というこのキーワードこそが、F・O・Eの音楽を見事に体現していました。ソロ・アルバム「S・F・X」('84)で垣間見せたヒップホップ指向をさらに過激に追及したこのユニットは、短命だったとはいえ、そのゲリラ的な活動や音楽がYMO以後のテクノ・フリークにはたまらないものがありました。

このファースト12インチ「Friend Of Foe?」('85)は4曲入りのミニ・アルバムとはいえ、非常に密度が濃い音作りに圧倒されます。緩やかな細野氏のラップとオリエンタルなメロディが哀愁ただよう「World Famous Techno Pop」。「S・F・X」収録曲をさらに過激にリミックスして、アフリカ・バンバータにクレイジーと言わしめた「Return Of Body Snatchers」。細野らしいリズムのシンコペーションとエキゾチックでストレンジなコード進行も新鮮な、これまた「S・F・X」収録曲のリミックス「Strange Love」。そしてラストは、抑えていた感情を一気に爆発させたアート・オブ・ノイズも真っ青のやり過ぎエレクトロ・ヒップホップ「OTT Manifest」。スピーディーにラップする細野晴臣は、信じられないくらいにファンキーで過激。F・O・Eを知らない細野ファンは度肝を抜かれることまちがいなしです。