青春デンデケデケデケ

bluemarble2005-06-08

青春デンデケデケデケ」というタイトルを初めて耳にしたときは、もうそれだけでストーリーが想像できたものです。大林宣彦が監督した映画版('92)を昨日久しぶりに観直しましたが、いつ観てもいい気分になれる、本当に素敵な映画です。

原作は芦原すなおで小説版は直木賞を授賞しました。ストーリーは実に簡単。60年代の田舎町が舞台で、ベンチャーズのエレキ・ギターの「デンデケ」という音にシビれた高校生が仲間を誘ってバンドを結成し、文化祭のステージで発表するまでを描いた映画です。それ以外はドラマチックな場面もなければ、主人公を悩ませるヒロインも登場しません。細かいエピソードはいろいろあるけれど、別に普通に田舎の高校生なら、だれでも体験するようなありふれたことばかり起こるエピソード。ですが、もうこれがまさに「青春そのもの」なんですよ。映画の舞台こそ60年代であれ、ボクも高校生の時に田舎でバンドをやっていた人間ですから。「ウォーター・ボーイズ」や「スウィング・ガールズ」より、断然「デンデケ〜」の方がリアリティがあるわけです。

自分も高校生の頃は女の子とデートするわけでもなく、ひたすら男友達とバンド活動ばかりしてました。文化祭のためにバンドの練習をして、いざ文化祭のステージでは、結構女の子にキャーキャーいわれていたのに、終わってしまえばみんなバンドの熱も醒め、受験勉強ために長い冬に突入してしまうというのは、この映画でもボク自身の体験でもまったく同じこと。あの高校受験前の空虚な感じが溢れる映画のラスト・シーンは、まさに昔の自分を観ているようで、ちょっと切なくなりすぎましたが。

即興と思われる演出やアマチュアっぽい演出も、あえて意識的にやっているのでしょう。カギカッコや注釈の多い文章だった原作を、そのまんま映画でも再現しているのも面白い。「まるで○○のようだ」とナレーションが入れば、本当に「○○」を一瞬登場させるというアホらしさ。最高です。

ちなみに一番好きなシーンが、主人公がキスについて妄想をするシーン。そこで「手当たり次第にクラスの女の子とキスしまくる」という夢のようなシークエンスが登場しますが、自分が高校生の頃に妄想していたことと、まるで同じだった(笑)