ブギー・ナイツ

bluemarble2005-06-11

世代的にまったく違うんで、70年代のディスコが青春というわけではないんですが、この「ブギーナイツ」('98)を観終わった後は、思わず「ディスコ最高〜」と叫んでしまいました(心の中で)。着実に話題作を提供しているポール・トーマス・アンダーソン監督作品ですが、これはなんと26歳(!!)の時の作品というから恐ろしいです。

なんの取り柄もないけれど、チ○ポだけはデカかったためにポルノ界の大スターになってしまった主人公。そんな彼を取り巻く70年代のアメリカン・ポルノ業界の裏話を交えながらの青春物語。なんかポルノ業界なんていうと非常にダークなイメージを持ってしまうのですが、ここで描かれている人物たちは、みな愉快で面白い人たちばかり。主人公はブルース・リーを気取ってレイバンのサングラスをかけて、いかにもカンフー映画のパロディみたいなポルノ映画に主演するんですが、「今夜はナイト・フィーバーだぜ!」というセリフが、いかにも安っぽくて笑えて最高です。だけど当時は、それがカッコよかったんですよ(たぶん)まさにディスコ・マジックです。さらに、みんなダメ人間としか言いようがない人たちばかりなのに、それに気づかないというか、気づいていないから妙に幸せそうだったりするのが面白い。とはいえ、パーティーの途中で女の子がオーヴァードーズでブッ倒れ、その死体をみんなで隠したりとか、とてもシャレにならないくらいマッドな現場で働いているんですけどね(笑)

この映画は、ディスコ、及びアメリカン・ポルノが全盛だった70年代半ばから、都合5年間の出来事を描いた映画なので、当然後半は80年代突入するわけですが、ここから急にトーンが暗くなるのが実にリアリティがあります。ディスコが衰退しただけでなくポルノ業界もフィルム撮りからビデオ撮りになって、スタッフに「映画を作ろう」という意識ややる気がまったく失せていくわけです。さらに無敵のモノを持っていた主人公が、ついにアレが立たなくなってしまう。これで仕事がなくなって、一気に人生が転落。遂に仲間と強盗未遂をしてしまう。最終的には、昔お世話になったポルノ監督へ泣きついて映画に出演させてもらうのですが、そこでは主人公は「マイアミ・バイス」みたいなスーツ着てる(笑)。なるほど、たとえ人間は落ち目になっても、それに気づかなければ幸せになれるのだと教訓映画ですね(ホントかなぁ)

最後にギンディ小林さんの名言を引用します。「ブギーな奴らには共通点というか、ひとつだけ欠けているものがあるんですよ。セックス、ドラッグはあるけど、ロックがビタ一文ないんですよ。そこが最高です(笑)」