さる友人にblue marbleのデモ・テープを聴かせてみたところ、「ハーパース・ビザールみたいですね」というメールでの返事がきました。で、気になってハーパース・ビザールのアルバムを聴いてみたりしているところです。

でもハーパースとウチらじゃ、レコーディング環境が全然違いますね。こっちはショボいコンピューターでシコシコと作った擬似アコースティックなデスク・トップ・ミュージック。向こうはヴァン・ダイク・パークスニック・デカロなど、豪華なアレンジャーがフル・オーケストラを駆使して作り上げた完全生演奏によるスタジオ録音。あぁ、生まれる時代を間違えたのか。60年代のワーナー/バーバンクでデビューしたかったというのがこちら側の切なる願い(無理)。でも相棒のとんちゃんはA&Mは知っていましたが、ワーナー/バーバンクと言われてもピンとこない様子。そういうボクも本当のところ、あまり区別ができていないのだけれど(人脈的にも被ってるし)

写真はデビュー作の「フィーリン・グルーヴィー」('67)で、サイモン&ガーファンクルをカヴァーしたタイトル曲は全米13位の大ヒットになりました。ストリングスやクラリネットなどの管楽器をふんだんに取り入れたサウンドは、当時でさえノスタルジックな雰囲気でしたが、それが逆に大ウケしたというわけです。ちなみにこの曲のアレンジはレオン・ラッセル。70年代にはダミ声でスワンプ・ロック界をリードする彼も、このころはヒット・ポップス界のアレンジャーとして活動していたわけです(一番有名なのがゲイリー・ルイス&ザ・プレイボーイズですね)。

ハーパースの思わぬヒットに、名プロデューサーであるレニー・ワロンカーは「いける」と思ったのか、さらに裏方連中と1920年代あたりのアメリカン・ミュージックを徹底的に追求したような究極のオールド・アメリカン路線へと突っ走るわけです。しかしノスタルジックとはいえ、どこかマッドな雰囲気すら漂うのもバーバンク・サウンドの個性。芯の無い脱力ボーカルをさまようストリングス群は、めまぐるしく回転するメリーゴーランドのように休まる事を知らず、不自然なほどのエコーは、まるで体育館に設置された仮想遊園地のよう。体育館の外は激動のサイケデリックな時代だったというのに、こいつらは何を遊んでいたのか。いや、まったくもって最高な連中です(笑)

blue marbleと共通点は、「時代感覚無視」というところでしょうか・・・。