雨降りの朝、車で通勤してたら、なぜか渋滞にハマってしまいました。その時、本当に偶然にカーステから流れてきたのが、クラシックス・フォー(Classics Ⅳ)の「Rainy Day」と「Traffic Jam」という曲という話は出来過ぎでしょうか。いや、これは本当に今日あった話です。

その曲は、彼らの1969年のアルバム「Traces」のB面中盤あたりの曲の流れなわけですが、残念な事に、このアルバムは未だにCD化されてないんですよね。こんな名盤を廃盤にしたままなんて、実にもったいない話です。というわけで、車で聴いていたのはCDでもMDでもなく、なんとカセット。それもボクが高校時代にLPから録音したものです。しかし自分で言うのもなんだけど、若いくせに、年寄り臭いというか、渋い趣味してましたね。むしろ今の方がミーハーかもね。坂本真綾が好きとかね(笑)

いわゆるソフト・ロック系のブームによって再評価されたアルバムではあるのですが、ボーカルのデニス・ヨストは、ソフトではありますが、実にソウルフルでコクのある歌い方をします。英語の発音に独特のクセのようなものがあって、好き嫌いが別れる声でもありますが、たしかに、なんだか飴を口に入れたままモゴモゴと歌っているような(笑)そういう不思議なニュアンスがある声ですね。

あと、彼らの曲の特徴は、印象的なギターのフレーズにもあります。最初にヒットした「スプーキー」や「ストーミー」といった曲で、エレキ・ギターの自我流ボサノバ解釈みたいな独特の指弾きフレーズを連発してたので、そういうボサノバっぽい落ち着いた曲に、適度なソウル風味をまぶした楽曲を連発していきました。同時にメロディにはますます磨きがかかり、遂に、このアルバムのタイトル曲「トレイセス」のような実に哀愁のあるメロディーを作り上げるにまで至ったわけです。

ほとんど曲にストリングスやサックスなどが入るので、何とも甘いムードになるわけですが、同時に「何かの終わり」を感じさせてくれるような哀愁も感じてしまうアルバムです。その「終わり」っぽいムードを、何となく年末ムードに合わせて、じっくり何度もひたってみようかなと、そんな気分にもなります。何度聴いても飽きることのない、まさしく心の名盤です。

しかし、内容は素晴らしいのに、このジャケット写真はないよねぇ・・・。