正直洋楽再発の場合、以前から好きだったものを「やっぱりいいなぁ」という再確認みたいな印象のアルバムが多かったんです。でも、邦楽の場合は「なんじゃ、こりゃ?」というインパクトが大きくて、本当に「実は日本って、とんでもないなぁ」と思った1年でしたね。というわけで邦楽再発ベスト10を決めてみました(順不同)

① 大野松雄の音響世界①
② 富岡多恵子 / 物語のようにふるさとは遠い(写真)
③ イエローマジック歌謡曲
④ 佐藤マサ&香港フラワーズ / CHOPSTIC WIZARD
⑤ スターリン / フィッシュイン(オリジナルミックス1984)
⑥ アフターディナー / グラス・チューブ+シングル
⑦ 寺内タケシ / Progressive Terry!
⑧ 梶芽衣子 / 去れよ、去れよ、悲しみの調べ
⑨ 楳図かずお / 闇のアルバム
⑩ 中西俊夫 / Home Work

①は「鉄腕アトム音の世界」で有名な初期の電子音楽の決定版。ピエール・アンリと並べて置いておきたいCD。若き日の坂本龍一が絡んだ②は生まれたときからジャンル分別不可能な天涯孤独の歌モノ。インパクト、衝撃という意味ではベスト1かも。YMOのやっつけ仕事をまとめた③は、まさしくテクノ歌謡の決定版といえる内容。流れを無視して「発売順」にこだわる曲並びもライノ盤的な清さを感じます。シングルのジャケ写がないのだけが残念。④は、まさにリアル「泰安洋行」ともいうべきオリエント歌謡。なんと驚異の自宅録音だとか。⑤はビル・ラズウェルじゃないオリジナル・ミックスで再発。この頃のスターリンは、もっと評価されていいはず。これぞ本物のロック。

⑥は演劇チックなプログレニューウェイブで、この頃の日本のインディーならではの強烈な個性を感じます。⑦は1967〜74年までの「プログレ度」にこだわった編集盤で、その壮大な音は、ほとんどキング・クリムゾン級。⑧は「恨み節」しかしらない人たちは驚きのソフト・ロック。実に情感豊かな歌と語りがディープな最高の歌謡曲。⑨は、なんと本人の作詞、作曲による分裂症アルバムで、シャンソン、フォーク、果てはフュージョンまで。その雑種性には恐れ入ります。近田春夫筒美京平も絶賛。⑩はMELONの人の83年のカセット・ブックの再発。プレ・ヒップホップならではの「いい加減」なコラージュっぽい流れに、スネークマン・ショー&ピテカンの真髄、ここに極まれりという感じでした。