休日の朝に、何故か早起きして目覚めて、そのままボンヤリと窓の外の景色を眺めているような「何でもない時間」。でもボクは、そういうボンヤリとした一見無駄かと思うような時間こそが、実は人間が生活していくなかで、とてもかけがいのない貴重な時間なのではないかと思うのです。


ファンタジーの「ペイント・ア・ピクチャー」('73)も、実はそんな感じの「かけがいのない」時間を提供してくれるアルバムなのではないでしょうか。これを聴いて人生が変わる人なんで誰1人いないけれど、この何でもないような曲ばかりの英国ロックが、ボクには早起きの朝にボンヤリと眺めた窓の外の景色のように、ちょっとだけ穏やかな気分になれるんです。


ボクの家の窓の外には、真っ白な冬空に枯れた桜並木が並んでいます。ファンタジーを聴きながら眺めると、まるで英国の田舎に住んでいるような気分になってきました。まぁ幻想ですよ、幻想。まさにファンタジー