ロッド・スチュワートのアルバムということで「ロッド・スチュワート・アルバム」('70)。そんな味も素っ気もない邦題で有名ですが、これがデビュー盤です。原題は「An Old Raincoat Wou't Ever Let You Down」という実に味わい深いもの。ジャケもいい感じです。英盤だとレーベルはVertigoなんですね。このレーベルはプログレやハードロックのイメージがありますが。


ボクの友だちの音楽ファンにはロッド・スチュワートアメリカ人だと思っている人もいて、まぁそれも頷けるんですが、このデビュー盤を聴けば、彼がまぎれもない英国人であると認識できるでしょう。フェイセズも、「イギリスの好きなアメリカ」みたいな音ですが、少なくとも彼の70年代初頭のソロ・アルバムはジャケットの雰囲気も含めて英国ロックの文脈でちゃんと語られるべき。リズム隊のメンツはジェフ・ベッグ・グループそのまんまですし。


いきなりストーンズの「Street Fighting Man」のカヴァーから始まりますが、この曲や「Blind Prayer」あたりのロックなカッコよさはなんと表現したらいいんでしょうか。音がリハーサルそのまんまみたいなボロっちい感じなのも、ここでは魅力的です。「Dirty OldTown」みたいな英国フォークの独自の解釈も、この時代の彼ならではの魅力ですね。セカンドに入ってるタイトル曲の「ガソリンアレイ」のメロディー・ラインとかも、実にイギリスっぽい。


マイケル・ダボ(元マンフレッド・マン)のカヴァー「ハンドバッグと外出着」という曲が昔から大好きで、この曲を聴くとボクは意味もなく「小さな恋のメロディー」という映画を思い出してしまうんです。70年代初頭のイギリスということ以外は何の共通点もないのかな。でも雰囲気というか、そういう共通点。わかってくれる人にはわかってもらえると思うんですが、ここまで書いて、さぁもう一度「メロディ」のDVDでも観ようかな、という気分に。