前回のティア・ナ・ログ続いて大好きな英国フォークの作品を紹介します。Bridget St.John。ちょっと前に復活して来日コンサートもやっていました。これは、彼女の2ndにあたる作品です('71)。風来坊さん(id:huraibou)も日記で取り上げていたので、ボクは別の彼女のアルバムを・・・とも思いましたが、やっぱりこのセカンドが一番好きかな。


1stは弾き語りの地味目のフォーク,3rdと4thがシンプルなバンド編成という感じなのですが、この2ndは、ピンク・フロイドの「原子心母」のおなじみのストリングス・アレンジャー兼現代音楽家のロン・ギーシンがオーケストラと手がけています。これが「凝ってるけどひかえめ」という、実にblue marble的なアレンジでして(笑)なかなかに共感してしまいます。


しかし、よ〜く聴くと(いや、よく聴かなくても)相当変なアレンジ。ギターのアルペジオに小編成のストリングスというのは、よくある手法ですが、ホルンの多重演奏や男女混声コーラスなんかをフワフワと重ねていくあたりに「そうやる!?」みたいな驚きを感じます。最後までドラムが無いのも潔いといいますか。


曲そのものは結構地味です。だからこそギーシンは、ちゃっかり自分なりの世界観を、その上に作ろうと思ったのでしょう。こうしたアレンジャーの強烈な思い込みによる作業って、実は失敗するケースが多いのですが、これは珍しく成功。ブリジット本人もお気に入りの様子。やっぱり大事なのはセンスですね。


ブリジットは、決して歌の上手い人ではありません。中性的な低い声で少年のようにギクシャクと歌います。ある種の固い感じの真面目さと柔らかなオーケストラ効果が、つかず離れずの関係で同時に進行していくから不思議なものです。


40分でアッという間に終わるのもグレート。ジャケットに犬がいるのもグレート(笑)見開きジャケも大変美しい。これまた心の名盤。最高っす。