英国フォークってだけでもワケわからんのに、さらにこんな自主制作盤まで紹介すると「もう知らんわ」って感じになっちゃうと思うんですが、もうとりあえず「今聴いてるもの」って感じでストーン・エンジェル(いきなりですが)。オリジナル盤は数十枚で、それがマニアの間で数十万で取引されていたという70年代フォークの超お宝レコード。昔、これがプログレ雑誌で、まるで化石でも発見されたかのよう大騒ぎして紹介されました。その時は「こんなどこの誰かもわからんド素人のフォークに何十万も払うヤツの気がしれん」と思ったものです。が、今、普通に買ってる自分がいるし(笑)


といっても、当たり前ですが再発CDで購入です。これを再発したKissing Spellってレーベルが、またムチャクチャで、曰くメロウキャンドルのデモだの、テスト盤のみ存在した誰も知らない自主制作フォークだの。「おいおい、マイナーだったら、なんでもいいのかよ」って感じのUKフォーク系を充実させてる謎の会社。更には、このストーン・エンジェルの「教会でのライブ録音(音質モコモコ)」だの、前身グループのミッドウィンター(MidWinter)なんてのまで出したりと、もう誰にも止められない爆走状態。出す方も出す方なら、聴く方も聴く方だ。マイナー系UKフォーク好きの妙な連帯感だけで商売が成り立っているんでしょうな。


で、肝心の音ですが、霧がかったような不鮮明なサウンドで、物悲しいメロディーに乗って、男女がダラダラと歌っているだけで。それにフルートだのヴァイオリンが絡んできます。とにかく、この手の自主制作フォークの中でも「怪しさ」では抜きん出てるんではないでしょうか。最初に聴いた時は「ムムム??」と、まるでわからなかったサウンドでしたが、英国の廃墟みたいな宮殿の窓から、どんよりした曇り空をいつまでも眺めているような気分で夢見心地に。裏ジャケは手書きの歌詞カードにセピア色のいい雰囲気のメンバー写真なんですが、ジャケットのイラスト同様、この安っぽいデザインにグッとくるかこないかで、あなたのフォーク度数が計れるとか!?