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ジャケが有名ですよね。中味の音は知らないけど、ジャケで気になっていたという人も多いと思います。トゥリーズのセカンド「オン・ザ・ショア」('70)。このデザインはヒプノシスなんですが、水をまいている少女の顔がオバケみたいに青白い顔でこちらを向いているというのは、ちょっと怖い感じもします。まいている水の形、傾いている丘の公園、やや不自然に着色された写真の色。そのすべてに、何ともいえない英国情緒を感じてしまいます。ちなみに、裏ジャケはもっと良くて、宮殿の跡地みたいな場所の古ぼけて藻が生えている人工池(プール)をバックに少女が後ろを向いているというもの。完璧です。
しかし、内容の音がまた絶品で「ジャケだけ良くて音はB級」みたいなまがいもんでは全然ありません。フェアポート〜スティーライ直系のUKトラッド・フォーク・ロックの超一級品です。たった2枚のアルバムで消えたという幻といってもいいバンドなのに、この練られたトラッド風味のアンサンブルを聴けば、彼らがいかに完璧なプロフェッショナルな音楽集団だったかがよくわかると思います。しかも、これまたハズレなしで有名なサンディ・ロバートソンのセプテンバー・プロダクションものです。アマチュア臭いフォークってのも、それはそれで魅力なんですが、やっぱりひさびさににこういうマトモ(?)な音楽集団の音を聴くと、「オレもちゃんと音楽やらんとなぁ」という気分になるというもの(なんだそりゃ)
ファーストのジャケがビルみたいな建物から木の根っこが生えてるという、よくわからんセンス(まぁ、これもイナたい感じで好きですが)のジャケのせいで知名度はイマイチながら、こちらもセカンド同様素晴らしい内容です。熱いトラッド風味の演奏をバックに歌う女性ボーカルの雰囲気から、まさにフェアポートの「リージ&リーフ」期の充実っぷりを見事に引き継いだサウンド。ボクは聴いたことないのですが、半オフィシャルみたいなブートレグで出ているという当時のライブ演奏を収めたアルバムでは、フェアポートすら凌ぐくらいの強烈に熱い演奏が繰り広げられてるとのことらしい。これは是非聴いてみたい。