ダギー・マクリーン(Dougie MacLean)は風来坊さん(id:huraibou)さんも日記で取り上げていたのでコバンザメみたいになっちゃいますが、ボクがセレクトにダギーの曲を入れた影響で取り上げたそうなので、この場合はコバンザメのコバンザメになるんでしょうか(笑)。スコットランドジェームス・テイラーとまで言われてるダギーですが、JT以上に、流行にまったく関係ないような、いい曲を書くんですよね。何しろ20枚以上(!)といわれている彼のディスコグラフィーは、そのほとんどがジェントルな歌声のギターを中心にしたもの。たまに彼のフィドル演奏のインストもあったりはしますが、まぁ王道のワンパターン。


ダギーは1954年スコットランド生まれ。父親は庭師でフィドル弾き、母親はマンドリンを演奏していたということですが、この2人の両親の影響あってのミュージシャン人生なのでしょう。というのも、彼のミュージシャンの出発点はトラッド・バンドでのフィドルマンドリンの演奏者だったのですから。しかし自作の歌を歌いたかった彼は、最初は70年代後半、アンディ・ロバーツとのデュオで始めたものの、その後、ソロに転向。一時期スコットランドを代表するトラッド・バンド、シリーウィザードにも在籍していましたが、83年からは、自身で設立したDunkeldというレーベルから、一貫して質の高いアルバムを現在にいたるまでコンスタントに発表しています。この「Craiggie Dhu」('83)は、そのDunkeldからの第一弾アルバム。


初めて聴いたアルバムがコレでしたが、オープニングの「Gin I Were A Baron'n Heir」1発で好きになりました。ギターはシンプルなアルペジオ演奏。やさしい歌声にはハーモニーをそっと重ねたり。無駄な贅肉がない、ただ普通に「いい曲」だから、いつまでも聴いていられるような。続く「Ready For The Storm」の寂しげなマイナー・メロディーもいいんですよね。さらに「It Fascinates Me」。この切なさ、美しさは言葉では言い表せないほど。名曲です。そしてラストは「Caledonia」。これこそ彼の作品の一貫したテーマである郷土愛、自然愛を集約した代表曲だと思います。JTほどの知名度は仕方がないとしても、せめてリヴィングストン・テイラーほどには知られてしかるべきだと思うんですが。