昔からLPのジャケットを観るたび「何かに似てるなぁ〜」と思いつつも、それが何なのか思い出せずにそのまんまでしたが、紙ジャケCDを手に入れてふと気がつきました。これ「リプトン・ティー」っぽくないですか?(笑)リプトンの紅茶のティーバックというか、そういう感じのデザイン。何だか、そう思ったら、英国庶民のささやかな贅沢みたいなティータイムと、このリンディスファーン(Lindisfarne)というバンドの佇まいが、妙に重なり合ってきました。というわけで彼らの記念すべき第一作「ナイスリー・アウト・オブ・チューン」('70)がこれ。


リンディスファーンは基本的にライブ・バンドでした。続くセカンドが大当たりして全英第1位の栄誉に輝いたにもかかわらず、その後のセールスはイマイチ。だからこそドサ回りのようなライブ・アクトで生き残りに賭けたわけです。おかげで40枚以上(!)という彼らのディスコグラフィーのほとんどがライブ盤。噂が噂を呼んで、彼らのライブでみんな大合唱するというのが定番になるほど。なので、ライブ盤はどれも熱い!たとえば、このアルバムからのライブ定番曲「ウィ・キャン・スウィング・トゥゲザー」。この後半の「ほら、みんなで歌え」といわんばかりの、まるで大酒飲みの男たちがパブで酔っ払って大合唱するようなコーラス。このイナたい同士の連帯感みたいな「庶民派フォーク・ロック」っぷりがチャーム・ポイントでもあるわけです。


しかし、そんなご陽気な曲ばかりではなく、まるで霧の中に1人で佇むようなロマンチックな曲もかけちゃうのが、リーダー、アラン・ハルのソングライティングの強み。大ヒットした名曲「レディ・エレノア」もそうですし、「ウィンター・ソング」なんかもそう。同じニューキャッスル出身のプリファブ・スプラウトのパディ・マクアルーンは「リンディスファーンは地元のヒーローだった。アラン・ハルは自分でも素直に負けを認められる素晴らしいソングライターだ」とまで発言してます。そのアランはジョン・レノンのソングライティングに影響を受けたそうです。そうやって英国ロックの伝統と歴史はつながっていくわけですが、じゃぁ日本のロックはどうなのよ?