イエジー・スコリモフスキーの「早春」っていう古い映画を観てたら、いきなりCANの「Mother Sky」が流れてきたんでビックリしてしまいました。そうか、これの音楽ってCANだったんですよね。ビデオを観るまで、すっかり忘れてました。というわけで、そのCANの一応セカンドにあたるのかな?「サウンドトラックス」('70)をひっぱり出して聴いています。タイトルそのまんまですが、これは60年代後半にCANが音楽を手がけた5本の映画の曲が無造作に入っております。もちろん「早春」の「Mothersky」もこれに。


サントラといってもピンク・フロイドが手がけた感じのとは違って、完全に歌も入ってますし、変な言い方かもしれませんが、全然サントラの音楽にあるようなムード志向ではありません。もう完全にロックです。何だかCANの中では、かなりポップというか、ジャーマン音楽をあまり聴かないというCAN初心者でもとっつきやすいくらいに、実にわかりやすいロックアルバムじゃないかと思いますね。ポップといっても、後期のCANのどうしようもなく軽い感じではなくて、ちゃんと「重い」サウンド。でもビートは弾んでいて、コード進行はシンプルながらメロディもしっかりしてるんです。


それにしても、今聴いても全然古くないというか、本当にこれが60年代の作品!?ってくらいに先進的なサウンドです。これがステレオラブの新譜といわれても信じてしまうくらいの、この「新しさ」。タンジェリン・ドリームでさえミニマルを開発してない頃で、ノイ!のハンマービートにしても、この2〜3年後ぐらいなわけですからね。ここでのCANのサウンドは、このままダイレクトにパンクを超えてニューウェイヴ、テクノ・ポップ、そしてグランジ音響派さえ越えているように思えます。CANのような音楽こそ、本当の意味でのプログレッシヴ・ミュージックなのかもしれません。