女子便所(Ladies W.C.)という、なんともふざけたバンド名。この1969年唯一のアルバムは、南米のベネズエラ産のガレージ・サイケ。ただ、曲を書いているリーダーが、Stephen Scottというアメリカ人(旅するヒッピーで南米にたどり着いたらしい)なので全曲英語です。ファズ・ギターやハーモニカがこれでもかと鳴りまくり、曲は変な効果音を挟み(トイレの流す音で始まる!)、一気にメドレーで進行していきます。まさに怒涛の展開。


60年代サイケデリック・ロックの発掘作業(リイシュー)は、この10年でとんでもない領域に達しており、80年代のサイケリバイバルの時とは比べ物にならないくらいの無名バンドのタイトル数が数多くCD化されています。しかも、こういう変テコな60年代のバンドを、今の20代ぐらいの若い人たちが好んで聴いてるという事実。リアルタイムでビートルズとか聴いてたオジサンのロック・ファンは、逆にここまでマイナーなロック・バンドまで追いかけてる人は、あまりいないようです。


それにしても60年代サイケデリック・ロックって、どれもジャケがいい感じなんですよねぇ。プロっぽいスタイリッシュな感じではなく、まるでバンドのメンバーが一日でデザインしたような素人っぽさが魅力です。サイケというのはジャケとサウンドがそろって、初めて意味を成し得るジャンルなのだなぁとつくづく思いますね。このLadies W.C.のジャケだって、トイレのイラストがなぜか下品にならずに、結構可愛らしく見えちゃうんだから不思議。