スティーライ・スパンのファーストではメンバーだったのに、とっとと辞めてしまったゲイ&テリー・ウッズ夫妻によるデュオ・アルバム('75)。枯れ木に囲まれて寒そうに上着のポケットに手を突っ込んでいる2人のジャケがいい雰囲気ですが、中味も英国フォークを代表する傑作として昔から人気のアルバム。


英国フォークといっても、やってる音楽はトラッドでもなんでもない、もうホントに「普通のフォーク・ロック」です。この場合の「普通」は、たとえば「焼いた秋刀魚」みたいなもんで、別に凝ったことしないでも、それだけで「何杯でもメシが食えるでぇ〜」という感じでしょうか。シンプルだけど実に旨い。


ほんのりカントリー、ほんのり西海岸、つまりは「イギリスのアメリカ」の典型ではありますが、オッサンの声が思いきりトラッド声なんでコケます。あんた、どう考えてもトラッド向きでっせ。いや、だからこそ最高なわけで。特にオッサンが歌うラスト曲は、シンプルなリフレインが胸を打つ、じんわり系の傑作。泣けます。