恐ろしいほど粘着質のあるボーカルの声の力にまず圧倒。Mad Riverのファーストは個人的にUSサイケのベスト10に入れてもいいくらい懲りまくった展開が素晴らしいアシッド・ロックでした。で、こちらはセカンド('69)。まるでジョン・フェイヒーを思わせるベロベロのアコースティック・ギターの音で始まりますが・・・。


一聴すると、思わず「え?カントリー・ロック路線」と思わせる方向転換を感じさせます。前半は、何かカドが取れたかのような穏やかさですが、1曲1曲進むごとに「いや、これはこれでヤバいかもしれない」というアシッドな雰囲気が濃厚に広がってきます。ボーカルの力も相変わらず強いし、聴くほどに味わいも出てきます。


曲によってはフランスのGONGを思わせるプログレッシヴな展開やティラノザウルス・レックスを思わせるブギーなナンバーもあったりしますが、これはまったくの偶然の一致でしょう。たとえばリトル・フィートの「ウィリン」のような、表面的なカントリーっぽさに対して歌詞がサイケでトリップ志向だったという、あの世界観が一番近いのかも。