東京に上京してきて間もない90年初頭、リバイバル上映されたレイトショーが映画「ロシュフォールの恋人たち」('67)の初体験。ミシェル・ルグランを知るきっかけは、たしか高校生の頃買ったルグランの「コール・ポーター作品集」。もともと「ジェット・ストリーム」とか深夜ラジオで流れるのムード音楽も好きだったので、特に抵抗もなく愛聴した記憶が。


ロシュフォール〜」の音楽がボクに喚起させてくれる情景は、古き良きフランスの恋物語というより、あのきらびやかだったバブル絶頂期の六本木のWAVEあたりだったりするところが情けないといえば情けないけど、そういう世代なんですよ。サバービアやディクショナリーがフリーペーパーで、渋谷系ももうすぐ、というあの時代。


とはいえ、このサントラが古びることなく時代を超えて素晴らしいことには変わりありません。このリマスターされた2枚組完全盤CDは、大幅にカットされた旧サントラ盤以上に、天才ルグランの魔法のような音楽をたっぷり満喫できます。カラフルな写真満載のブックレットも素晴らしいですし、インストゥルメンタル・ヴァージョンが収録されているのも嬉しいです。