80年代も前期と後期ではロックの質も全然変わってはきてるわけなんですが、個人的に80年代と言われて思い出す「気分」としては、やはり84年から86年ぐらいの音楽だったりします。「ミュージック・マガジン」を熱心に読み始めて、少ないお小遣いでレンタルLPを借りてカセットにダビングみたいな。


そんな「気分」としての象徴としてこの上ないのがスクリッティ・ポリッティのコレ。85年という時代も「ど真ん中」。初めてヤマハのDX7のセンセを弾いた新鮮な気分が甦る超デジタルな打ち込み感覚が懐かしくもあるんですが、さすがに完成度は今でも高いと思わせる技アリな1枚。グリーンの甲高いボーカルも印象的。


この時代から日本の歌謡曲でさえ「打ち込み」が主流になるわけですが、こういう「間」を生かした独特のファンキーなセンスは、やはり当時から、こういう「洋楽」でしか味わえませんでした。単なる「最先端」と思わせて、ちゃんと黒人音楽のルーツを見据えたものだったんですね。何といってもアリフ・マーディンとのNY録音。