前々から思っていたことなんですが、細野晴臣は「バンドを結成している瞬間」にこそ音楽をやり続けることの醍醐味を感じている人なんではないでしょうか。つまりは、ものすごく飽きっぽい人。今回の新譜がカントリーでも、さて次回は?・・・なんて、すぐ変化を求めちゃうのもファンの宿命でしょうか。


バンド録音の本作。純粋なカントリーとは言いがたい音ですが、もちろん、それでいいのです。正攻法のカントリーなんて、正直面白くも何ともない。極論すればカントリーという音楽は50年代までで「役目を果たした」ジャンル。その後は「ヒルビリー」もしくは「カントリー・リヴァイバル」と言った方がいいのかも。


ボクのような凡人ならYMOの1stや「Hosono House」のネタだけで10枚ぐらい作るところを、持ち前のクールなセンスとユーモアで、どのアルバムもサラっと一話完結。なおかつ音の情報量は聴けば聴くほどなんですから。デジパック仕様が「オムニ・サイト・シーイング」('91)も連想させる、これもまた「旅」の1枚。