「エレキインストって歌のない歌謡曲とどう違うのよ?」と言われると、どう答えていいのかわかりません。窓口は広いけど奥も広いのがこういう音楽なんですよ。オチがわかっていてもついつい見入ってしまう懐かしのヒーロー者ドラマとか、古きよき西部劇にも近い世界観というか。とりあえず「エレキインストは女、子供にゃわかるまい」というのがボクの偏見。


ボクの兄が高校生ぐらいのときビアガーデンの屋上で、こういうエレキインストバンドやってたような。加山雄三の「ブラック・サンド・ビーチ」も兄のバンド演奏で知ったくらい。兄は「Niagara Black Box」も持ってたし、結構ナイアガラ・マニアでしたね。兄に怒られそうな気がして、当時そのボックス聴けなかったったんですよ。シリア・ポールとか。


時代はフュージョン、ディスコ、もうすぐニューウェイブという時代にエレキインストという巨匠のヒネっぷり。ほんとロンバケの大ヒットがなかったら、大滝詠一は、今よりもっとカルトで神格化されていたかもしれませんね。ソニーの豪華なスタジオじゃなくて、福生の狭いスタジオでシコシコ作ったこのアルバムこそが、純粋な「ナイアガラ・サウンド」なのかも。