極端に電化した頃のマイルス・デイヴィスの問題作('72)。何が問題作かっていうと、16ビートなのに、全然踊れないというのが問題。なのに、このB級ファンクなジャケは、悪意ありますなぁ。かなり好きな絵ですが。ちなみに裏はピンクで「OFF」と表記。電化だからオン、オフ。コンセント付きのトランペットも笑えます。


最近、この時のセッションを集めた6枚組の箱が出たみたい。聴いてはみたい。でもたぶん、フツーのだらけたジャムセッションだと思うなぁ。このアルバムは、演奏そのものじゃなくて「編集」の勝利ですから。レゲエでいうところの「ダブ」。テクノでいう「リミックス」みたいなもので。


そうなると、ワンコードのジャムセッションを、ここまで意味深に編集で並び替えたプロデューサー、テオ・マセロこそが真の主役でしょうか。すべての楽器をギターアンプに通して録音したような猥褻な音色も効果的。でもジャズだと思うから衝撃であって、ロックなら別に流される音だと思いますけどね。