ジャケットがいい。異国の地、ロンドンでハトの群れと戯れて大はしゃぎするエリス・レジーナと、遠くの方で「何やってんだろ〜ね」的な冷ややかな視線を投げている親子連れのロンドン市民。ピーター・ナイトがアレンジした入魂のオケにあわせて、たった2日間で同時録音したという、驚異のアルバムです。


スコア・ミュージックとしても完璧。多少のブラジル音楽への誤解も何のその。これでもかと音を詰め込んだビッグ・バンド・アレンジ。スウィンギン・ロンドンとブラジル音楽が渾然一体となった迫力とてもいいますか。そして、まさにジャケ通り、ノリノリで歌うエリスの歌の圧倒的なスキルときたらもう。


美空ひばりも、オケと歌を同時録音することに徹底していたようですが、そういえばエリスの歌唱におけるサバサバした豪快なトーンって、若き日のひばりにも通じるところがあるのかも。声が似てるというより、歌に対するスタンスというか。ちなみに1960年に15歳でデビューしたエリスは、この時ですら24歳(若い!)