活動歴は長いのに、青山陽一は、あまりベテランという感じがしません。大体ミュージシャンというのは活動が長いと、たいして人気がなくても、どんどん表現が開き直ったかのように図々しくなっていくもんですが、この人は、常に聴き手に向かって「どうもすいません」と照れ笑いしているように、どこか初々しい感じがするのです。


とはいっても作品そのものは、出来不出来の差があまりなく、どのアルバムもテンションは一貫しています。ポップスとしてはムラっ気がありすぎで、それが強烈な個性に。「自然体で不自然な曲をやる」という幾層にもヒネくれたユーモア。身のこなしは軽いのに、表現は毒々しい。でもどこか美しい。


奥歯にモノが挟まったような歌い方も面白いんですが、特筆すべきが作詞。さっぱり情景が浮かばず、ロマンの欠片もないのに、どこか「やるせない激情」を感じさせます。実はブルージーでソウルフルな表現者なのかも。この6枚目は本当に大傑作!どの曲の、どの瞬間も、この人だけのオリジナリティに満ち溢れてます。