ベスト盤CDのライナーを読むと、華やかなヒット曲の裏側で、業界に振り回されていた人たちらしいです。で、そんな音楽業界に嫌気がさしたメンバーが、のびのびと自由に制作した3枚目のアルバム。でも、世間的には素通りの売れない盤でした。「方耳から入って翌日には出て行く」という自虐的なタイトルが洒落にならず。


先行シングル「Back In Love Again」は、売りモノだったブラスロックに、ちょっとソフトロックも入って、いい曲。シタールを使ったサイケな感じの「I Know I Think」がまた最高に大好きな曲なんですが、バッキンガムズらしいかといわれれば、確かに疑問かも。以前の「Mercy,Mercy,Mercy」のようなヒット曲の数々は、問答無用で好きと言えるんですけどね


この従来のイメージを放棄した試行錯誤っぷりに、何故かラヴィン・スプーンフルの「Everything Playing」と同質の匂いを感じるんです。華やかな装いの影で、60年代の終わりが、もうそこまで。ただただ、その切ない終演ムードを味わいたいためだけに聴いてるようなところも。CDは本編より大量のボーナストラック曲を収録。