数年前、近所の公園のフリーマーケットで、変なオヤジがバナナの叩き売りのように声をあげながら、中古LPレコードを通りすがりの人に売りつけていた光景を目にしたことがありました。懐かしいアイドルなど安レコを、大袈裟な解説つきで売りさばき、オヤジの標的にされた見物人の何人かが一枚100円ぐらいとはいえ、無理矢理買わされていました。


ボクは買わずにオヤジをずっと観ていたんですが、そのうち、ボブ・ディランのこのアルバムを手に。(オヤジ)「ディランだよ、兄ちゃん、ディラン知ってるか?」(高校生ぐらい男)「いや・・・知りません」「何?知らんだと?お前ロック好きか?」「えぇ、まぁ・・・」「ロック好きでディラン聴かないなんて、モグリだぞモグリ!」


オヤジに捕まった悲劇の高校生は、結局、井上陽水なんかのレコと一緒に「ストリート・リーガル」を買わされていましたっけ。その頃、ボクは「欲望」以後のディランを一枚も持ってなかったので、それはそれで「モグリ」だったのかも。ディランは、いつの時代も結局ディラン。80年代の持ってない他のアルバムを買い集める決心を今オヤジに誓いたい気分。