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ラフトレードから3枚のアルバムを発表したシェリアン・オーファン。ひっそりと現れひっそりと消えていった、その佇まいすら、彼らの幻想的な「ブリティッシュ・フォーク」らしいサウンドそのものを体現してくれているような。いや、本人たちは、やっぱり売れて欲しかったでしょうけど。
キュートな女性ボーカルと男性ボーカルの対比は、スパイロジャイラっぽいし、弦楽四重奏とオーボエの活用が、チューダーロッジっぽい・・・。と、70年代英フォークのたとえを、あえて意識的に散りばめてみることに。フリーフォークを通過した今の方が、より自然に受け入れられる音楽なのかも。
これは3作中、最も地味な作品。全2作では全編に施されたストリングスも、ここではかなり控えめ。トコトコという生ドラムと、アコースティック・ギターがアンサンブルの中心。どこまでも英国の曇り空を連想させる湿り気のあるサウンドが、まさしく「田園フォーク」そのもの。