弾き語りみたいな印象のあるニック・ドレイクの1stですが、ちゃんとストリングスなんかも入ってます。よくフォーク系のアーティストの作品を評するときに、ストリングスが入っているからダメとか、そういう言い回しがあったりするものですが、このアルバムに関しては、ダメという部分は、まったくないですね。


特に2曲目の「River Man」の途中で、ストリングスが重厚にブワーっと鳴り響く瞬間。もう何回、いや何百回と聴いているのに、いつも鳥肌が立ちそうになります。「Way To Blue」なんて、エリナー・リクビーを半分の回転で聴いているような何とも暗い曲ですが、でも同時に切なく甘い部分もあります。


ジャズっぽい部分は、ダニー・トンプソンのベースの効果でしょうか。彼の生ベースが入ると、やはりペンタングルにも通じる部分が。内省的な声のせいで閉鎖的な印象も与えかねないのですが、ギターのアルペジオなど、驚くほど張りがあって若々しい勢いがあります。朝日が昇る直前の、紫色の空のような美しい音楽。