世代的には、自分もアシッドジャズ・ムーブメントの生き証人ではあります。しかし、思えばアシッドジャズというのもジャンルと呼ぶには強引な括り方ではありました。むしろ、同時期のヒップホップなんかと同様に、「サンプリング・ムーヴメント」という呼び名の方がピッタリなのかもしれません。


アシッドジャズというと、ガリアーノと共に思い出すのが、このチャプター&ザ・ヴァース。できれば、あの頃のアシッドジャズの盛り上がりを知っている世代と「あぁ、あったねぇ、そんなバンド」と盛り上がりたい、隠れ名盤。いまだに、こういう「ドラム1小節ループ」みたいなブレイクビーツ感覚って好きなんですけど、自分。


ギル・スコット・ヘロンにそっくりな声のラップが、このユニットの特徴ではありましたが、女性ボーカルのブラコンっぽい曲も、いいアクセントでした。「Dolls House」「It's Nearly Easter」などメロウな名曲が続く終盤の切ない雰囲気に、六本木WAVEのバブリーな情景がよぎって、今でも胸が熱くなる、そんな世代。