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ムタンチスが変テコだった最大の要因は、アレンジしているホジェーリオ・ドゥプラの責任ともいえます。カエターノ・ヴェローゾの初期のアルバムにあった賑々しさもドゥプラのアレンジがあればこそ。彼こそ、歴史的名盤「トロピカリア」のジャケで、眼鏡をかけてデカいコーヒー・カップを持っていた人。
あのバカでかいコーヒーカップは、実は古い尿瓶だったそうで、そういう悪ふざけが好きな人なんですね。アカデミックなアレンジに物足りなくなって60年代初期から電子音楽や現代音楽にも精通していたそうですが、音楽でできることをやり尽くした上で、再度ポップスにチャレンジするなんて最高です。
ビートルズのカバーも含みつつ、とにかくゴチャゴチャして終始落ち着きがないこのソロアルバム。全曲インストかと思いきや、時たま変テコな歌も入ります。誰かと思ったら、やっぱりムタンチスの連中。そんなわけで、まんまムタンチスの音になってるのはご愛嬌。モンドでカルトなトロピカリズモの裏名盤。