たいていのポップスがAメロ、Bメロ、サビみたいな決まりのなかで、アレンジやメロディを組み立てていくのに対し、ジョニ・ミッチェルの曲は、すべてがAメロみたいに、ユラユラと進行しています。メロディは歌詞を優先させるために、その都度、いろいろ変化していくんですね。


アレンジも最小限という感じの静かな余韻を残す、このアルバム。ジャズ・ミュージシャンとかがバックで演奏してるのに、いかにもジャズっぽいこと、ほとんどやらせてないのも、スゴイです。あくまでジョニというジャンルの音楽では、ジャズという方法論すら、ほとんど意味をなさないわけです。


あと、聴いてると、なんだかんだとボブ・ディランの影響を感じます。歌い方とか節回しとかはもちろん、歌詞の多すぎて、ほとんど小説みたいになってるところも。あともう1人の主役はベースのジャコ・パストリアスですね。「Black Crow」の緊張感溢れるスリリングな展開には今も昔も痺れっぱなし。