アウトバーン」と「ヨーロッパ特急」に挟まれては、いささか人気のない「放射能」ですが、この暗く沈んでいくようなビートに支配された雰囲気は最高だと思ってます。クラフトワークがテクノの元祖うんぬんよりも、まず何よりドイツのバンドであるということを最も強烈に意識させてしまうアルバムかもしれません。


当然のようにリズムは機械による単調なビート。MIDIなどない時代なので、同期演奏といっても、いささか心許ない感じが、逆に味になるのも、ならではという感じ。まるで最初期のエレクトーンのリズムボックスといっても過言ではない、このシュコシュコしたリズムの心地好さといったら。


それ以上に好きなのが、おそらくメロトロンと思われるストリングスの音と、自家製と思われるヴォコーダーによって変調されたボーカル。全体を包み込む音色のざらついた質感は、なんだか「黄昏のテクノ」という感じの情感豊かなもの。彼らのイメージから連想される無機質さだけでは語れない独特のものがあります。