「まるくなったね」というのは、アーティストにとっては皮肉な意味合いで使われることも多いのでしょうか、この頃のローラ・ニーロの音楽も、そんな感じで過小評価されてきたように思います。でも、気丈が激しい部分が聴いていて落ち着かない「ニューヨーク・テンタベリー」('69)より、このアルバムの方が実は好きかもしれません。


ジャケットの温和な表情そのままに、ずいぶんとナチュラルで穏やかなバンド・サウンドです。控えめなエレピやオルガンの音にシンプルなコード進行。それだけに彼女の作るメロディの美しさが光ってます。何か暗かったり激しかったりという曲がないから、本当に、いつでもサラっと聴けるのです。


ジョン・セバスチャンのハーモニカをフィーチャーした「Rhythm & blues」の味わい、軽快な8ビート「My Innocence」、そしてお得意のミディアム・シャッフルの曲「The sweet sky」など、なんだ随分と名曲ぞろいのアルバムじゃないかと、改めて再評価してほしい一枚。ちなみに邦題は「愛の営み」。