ラテン・ジャズのカル・ジェイダーは、フルートのハービー・マン同様、どんなジャンルだろうが自分色に染め上げてしまうヴィブラフォン奏者。これはアイアート・モレイラがプロデュースし、ジョージ・デュークがアレンジをした、ラテン・フュージョン作ながら、単なるオシャレに終わらない細部にまで凝ったアレンジが素晴らしいです。


思えばジョージ・デュークは、このころフランク・ザッパのバンドでも大活躍していたわけで、ふとザッパの「ワン・サイズ・フィッツ・オール」('75)あたりを聴き直したら、リズム隊の細かいニュアンスや、キーボードの音色など、意外な共通項も多く、このあたりも含めラテン・ジャズと簡単に片付けてしまうのも、もったいないと思います。


しかし、エルメート・パスコアールやエグベルト・ジスモンチなど、わりとインテリ肌の個性の強いアーティストがこぞって参加していながら、それがどーしたとばかりに豪快にジャンジャンと演奏しまくるジェイダー様の、さすが親分って感じ貫禄さは痛快です。巨大楽器をたくさん積み込んだ船の絵のジャケも好き。