最近見かけなくなったCDですが、絶対カタログに残しておくべき名作。野宮真貴が、ピチカート・ファイヴ以前に在籍していた3人組で、これはメジャーデビュー盤「QT」以前の1983年に録音されていたデモテープをCD化したもの。トニー・マンスフィールドのNew Musikに影響された、素敵なテクノポップの逸品。


なんというか、実に「水」っぽいテクノサウンドなのです。チープでモコモコした音に、まるで同時期の松田聖子を思わせる天然無垢な野宮嬢の可愛らしいボーカル。「水」といえば、水族館レーベルのオムニバスに残された2曲には、辛うじて、この雰囲気は残されていたんですが・・・


残念ながら、後のメジャー盤の2作では、この特別な質感は消えてしまいます。デモテープの方が、はるかにアーティストの本質をついている場合というのがあるんですね。リズムボックスとシンセのパッド。「ポー」というノイズ音。それにキュートなボーカル。あとはメジャー7thのコード。それだけでもう、夢見るような気分。