傑作。しかし、こんなトラッド臭漂うフォーク・アルバムは、70年代初頭のUKにはゴロゴロしていたはず・・・いや、ありそうでない・・・でも、なさそうである・・・という、この微妙な感触がいいのです。おそらく、無理して「現代風に」と好きなフォークを時流に合わせて変えなかったことが、逆に正解だったかもしれません。


エスパーズのメンバーでもあるメグが、同じくメンバーのグレッグ・ウィークスによって、ほぼ弾き語りに近い形で録音した初のソロ・アルバム。ヴァシュティ・バニヤン、アン・ブリッグス、ジュディ・シル・・・などなど、やはり先人たちの影響はありますが、さらなる極みに達したというくらい、本当に美しいサウンドがここに。


トラッドとカバーとオリジナルが、実にバランスよく違和感なくアルバムは進行していきます。これを聴くと、あの傑作揃いのエスパーズのアルバム群でさえ、何か「作為的」に感じられてしまうほど。つまりアシッド・フォークとかじゃなくて、もうただの普通のフォークだからいいんですよ、これ。普通のフォーク万歳!死ぬほど好き。