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プリペアード・ピアノによる謎のオープニングに続いて、妖しげなフリー・ミュージックが始まったと思いきや、聴きなれたメロディ(ビートルズのミッシェル)が流れ出します。そのままムーディーなピアノ・トリオ演奏になるかと思いきや、ドラムとベースの緊張感溢れるインプロビゼイションで、またもフリー状態に。
そんな、何ともスリリングに展開する日本のジャズの名作が、この佐藤允彦の帰米第一作。メンバーもベースに荒川康男、ドラムの富樫雅彦と非常に豪華です。タイトル曲や「ザルツブルグの小枝」といったオリジナル曲も良くて、オーディオ的にも、実に生々しい感触があります。今でも色褪せないサウンド。
フリーになりすぎず、かといって普通の4ビートジャズに流されない、この「踏みとどまった感じ」が、まさにニュージャズという感じ。更に面白いのは決してこのサウンドが、海外のジャズのマネになっていないところ。どこか日本的な湿り気のようなものがあるのです。69年にして、このサウンドは、ホントに驚異。