普通といえば普通なんですが、どこか間の抜けたジャケット写真。ヤレヤレと思っていると、オープニングのキャロル・キングのタイトル曲のカバーで聴こえてくるのは、クインシー・ジョーンズ本人のナヨナヨしたボーカル。あぁ、アレンジャーでも、歌うんですね。歌っていいんですね。あんまり上手くないけど(笑)


ま、この無防備さが、この時代のクインシーの良さなのかもしれません。この後、発表されたソロ傑作群のスキのない完成度とは違って、このアルバムは、まるでB級ブラック・シネマのサントラみたいな曲も多いです。しかし、クインシーのアレンジには、誰にでもわかりやすい「黒っぽさ」があって、だから人気もあったのでしょう。


注目曲は、テレビジングルでお馴染み「Ironside」、トゥーツ・シールマンズのハーモニカが泣ける「Brown Ballad」、ふざけたレアグルーヴ定番「Hikky-Burr」あたり。ラストはギター・セッションの断片をメドレーに仕上げた野心作。A&Mつながりで、セルジオ・メンデスあたりのファン層に当時は聴かれていたのかも。