ジャケットのイメージもあるんですが、このアルバムには冬の冷たい空気が似合います。今ではJ−POPの表通りを勇ましく歩いている印象がある坂本真綾ですが、この頃は世間ではまだ「声優だけど音楽クオリティが高い」みたいな認知のされ方。それって声優より歌手の方が偉いみたいな偏見?


まぁ、そんなことはどうでもよくて。何といってもデビュー以来一緒だった「坂本真綾菅野よう子」の、この時点では最終到達点ともいえる楽曲の凄まじいクオリティに、当時も今も圧倒されっぱなし。英語で歌う曲だけでなく、日本語で歌っている曲が大半なのに、どこかヨーロッパあたりの質の高い文学映画でも観ているよう。


歌の細かい生きづかいまで聴こえてくるような繊細な録音も素晴らしく、歌いだし寸前のブレスまでが、心癒されます。最近ではブレスを消したりオートチューンでごまかしたりといった味も素っ気もないJ−POPも多いけど、目先の流行にとらわれてはダメ。100年経っても古くならないマスターピースとは、まさしくコレ。