スイスで録音されたというヘンリー・カウの最終スタジオ作品。カンタベリー系でも、もっとも硬派なグループですが、クリス・カトラーのゴミ箱でも叩いているようなドラムはもちろん、これ以上はないくらい複雑怪奇に懲りまくった楽曲群が、とにかく圧巻。フレッド・フリスもギターにベースに大活躍しています。


アナログA面はティム・ホジキンソン作で、「太陽と戦慄」の頃のキング・クリムゾンを、さらに過激に暴走させたようなアレンジが圧巻。B面はリンゼイ・クーパー作で、よりスピード感があり音響的にも凝ってます。すべてのメーターが振り切っているようなサウンドながら、どこか「静」の印象もあるのも不思議。


カンタベリー系というと「アンサンブルは複雑だけど、表面的な音は穏やか」みたいなものが多いですが、彼らは別。まるで音を武器に観客に挑みかかるような挑発的な雰囲気で、殺気にみなぎっている、といいますか。まさしくチェンバー・ロックの1つの到達点。が、普通のポップスファンは、こういうの苦手なんだろうなぁ。