正直デヴィット・フォスターがプロデュースした80年代のバラード時代のシカゴは好きじゃないです。シカゴといえば圧倒的に70年代。そう、まだギターのテリー・キャスが生きていた頃。というか、シカゴといえばテリー・キャスですよ。ブラスよりも彼のギターが唸りを上げる瞬間に、ロックを感じます。


といっても、統一感のあるアルバム・ジャケの数々にくらべると、どれも音楽的な内容がとっちらかっていて、そのくせ妙にポップな曲をシングル・カットして売れちゃったりするもんだから、なかなかカルトなバンドにはなりません。でも、音楽的にもかなりマニアックな嗜好があるアクの強いバンドなんですよね、実は。


このアルバムは、もう一度ジャズ路線へ戻ろうと思ったのか、前半4曲は妙な変拍子ラテン・ジャズ・ロック路線。4曲目など、まるでソフトマシーンのような電子音までが炸裂。しかし後半は徐々にポップに。やはりテリー作の10、11曲目あたりが好きだな。バラードも、この頃は塩加減が絶妙。こうでなくちゃ。