裏ジャケを見るとメンバー全員がヘッドフォンをしているのに、なぜかライブ盤のようなMCから始まるスピリチュアル・ジャズの大傑作。何といってもレアグルーヴ全盛期のコンピで聴いた「kitty bey」の高速ブレイクビーツみたいな忙しない演奏が素晴らしく、冒頭のウッドベースの「ドドド〜」という突進音が燃えます。


バイロン・モリスはローランド・カークから多くを学んだのか、この4曲入りのアルバムも、1曲1曲は長いんですが、それぞれのソロの展開もダラけることなく、実にサービス精神に溢れています。シリアスでドス黒い音楽性も、紅一点ジェイ・クレイトンのボーカルが、ちょっとした清涼剤のように機能しています。


いかにも自主制作盤らしい手書きのジャケ。裏ジャケの微妙にずれたタイポグラフィと切り貼りしたようなメンバー写真も味といえば味なんですが、音そのものはゴツゴツした手ごたえを感じさせる迫力があります。ま、スタジオ録音でも、メンバーが同時録音するジャズは、結局すべてが客のいないライブみたいなものですよね。