ライブ盤ではなくて、ライブ・ツアーをドキュメントしたアルバム。しかも全部新曲。ライブ音源だけではなくて、ツアー中のホテルやバスの中での演奏曲なんかもあって、全体が1つの物語のよう。ドキュメンタリーというより映画的な想像力を喚起させる不思議なアルバム。


まぁ、これって実際、部屋とかバスで録音されているにしては、妙に音がクリアーな感じもするし、もしかしたら擬似ドキュメンタリーなのかもしれないけれど、そういうのも含めて、真摯な物語性を感じさせるのがジャクソン・ブラウンの強み。実際、地味だけど、いい曲がたくさん詰まった、これまた彼の代表作のひとつ。


このアルバムがスゴイのは、ツアーのやるせなさを表現しながら、アメリカの音楽産業がどんどんダメに成っていく様をリアルに具体化してしまっているところで、だからこそ「ガス欠でも走ってる」というタイトル曲につながるわけです。しかし「孤独なランナー」という邦題は、スポ根ドラマみたいで、いただけないな。