ピーター・ブレグヴァドのソロは、元スラップ・ハッピーの人というだけで、プログレのファン以外には、あまり聴かれていないのが現状ですが、この人のユニークな才能は、もっと多くのロックファンが注目すべき。この人の本質はシンガー・ソングライターで、何より詩人なのです。あまりに過小評価されていると思います。


美声の持ち主というわけでもないので、メロディ重視の日本人には、詩人といわれても、確かにわかりずらいのも確か。でも一度ハマると、実は優れたメロディ・メイカーだと確信してしまいます。「King Strut & Other Stories 」('90)や「Just Woke Up」('95)など、本当にいいアルバムが多いですね。


で、クリス・カトラーとティム・ホジキンスンという2人のヘンリー・カウ組が協力したのが、この3rdアルバム。80年代という時代をまるで無視した(いい意味で)スカスカなバンド・アンサンブルが、今はとても新鮮に響きます。手書きのブックレットもいい感じ。ここには、ボブ・ディランの最良の魂が受け継がれています。