クラウディオ・バリオーニ、RCA時代の傑作。次々と多彩な曲調が目まぐるしく展開して行く様はそれまで同様ながら、よりシンフォニックに、より明確に、音もすっきりとまとまっています。とはいえ、相変わらずアレンジのスケールの大きさが圧巻で、ここぞとばかりに登場するコーラスやストリングスに胸が躍ります。


バリオーニのアルバムは、1つのアルバムに1人のアレンジャーという制度を決めているようで、このアルバムは巨匠ルイス・バカロフのアレンジ。彼の力量も大で、突如フリーに突入したり、可愛らしい子供コーラスが登場したり(特に5曲目、最高!)、まさに自由奔放な発想はモリコーネ級。


淡々としわがれ声で歌うバリオーニの存在感と、メロディの美しさも見逃せません。全編イタリア語なので、初めて聴く人には、どれも似たりよったりに聴こえてしまうかもしれませんが、ここには、今の音楽が忘れてしまった純粋な「歌心」のようなものが溢れています。ジャケの夕陽と内容がピッタリとマッチ。