フリーのセカンド。たとえば3曲目や5曲目の幻想的ともいえるアコースティック・ギターの響きと、霧の中からふわっと光が差すような美しいコーラスは何でしょうか。ブルースを貴重にしているのにもかかわらず、汗臭さや押し付けがましい感じが一切しない。シンプルでコクのある演奏。メンバーの信じられない若さもビックリ。


いかにも英国アイランド・レーベルらしい湿り気のある録音は、極端にオーバーダビングを減らしたアレンジだからこそ活きてくるのです。一発録音ならではの緊張感は、永遠に色あせない新鮮さを伴うもの。ラストのフルートを使用した悲しげなアコースティック・ソングは、まるで日本のジャックスの「からっぽの世界」かと思ったり。


CDだとボーナストラックが多すぎて(19曲!)なんだか間延びした印象になってしまいますが、是非オリジナルの9曲を繰り返し味わって欲しいものです。この時代のフリーの演奏には、マイルス・デイビスの音楽のクールネスと同質の、ストイックでジャジーな雰囲気さえも感じます。幻想的な内ジャケの写真も必見。