「叙情と技巧が鳴り渡る時」とかショボい邦題で再発CDも出たアルバムですが、悲しいかな実際その通りの内容。いわゆるフランスのジャズ・ロック系インストゥルメンタルの(かなり)マイナーなバンド。しかし、それで終わらないのが曲の良さ。テクニック至上主義じゃないメロディ主義。歌ものじゃないから、かなり地味ですが。


このバンドの特徴は、なんといってもメロトロンです。録音時期が78年頃というから、シンセ・ストリングスだって使える時期なのに、あえてメロトロン。ここに初期クリムゾンやジェネシスに憧れるプログレ第二世代ならではの愛情を感じます。メロトロンの音って、まるでアンティークの家具に囲まれているような安心感があります。


それにしても、たったコレ1枚の自主制作盤(プレス数は1000枚にも満たない)を残して、その後消息不明になってしまったというこのバンドを発見した日本人のプログレ発掘精神は世界に誇るものがありますね。仏MUSEAが再発に踏み切ったのも、その日本からの熱いラブコールだったと推測いたします、きっと。