ディッキーズは元祖LAパンクともいわれていて、結成は77年。メンバーチェンジがあるとはいえ、未だに現役という不思議なバンドです。音楽的には、とにかく底抜けにポップ。ラモーンズですら渋いと感じてしまうほどに、カラフルで陽気なポップ・センス。ほとんど曲が3コード。サックスやキーボードなんかも平気で入ります。


カヴァーセンスも突き抜けていて、ブラック・サバスの「パラノイド」、モンキーズの「SHE」、バリー・マクガイアの「明日なき世界」と、節操なしも、ここに極まれり。要するにパンクというスタイルをかりたパーティー・バンドなのです。ステージ写真も大コスプレ大会。オジサンになっても全然平気で、そんな感じなのです。


パンクが登場したときの「ハードロックのLPを45回転で聴いてるようなもん」というオールドウェイヴ側の批判を、まさに「そのとおり」とばかりに開き直って演奏しているような痛快さがたまらない。ここで切ないメロディで泣かせたりすればパワーポップにもなるのでしょうが、そんな小賢しいこともしない潔さもパンクかも。