ウルトラヴォックスというと、何といってもジョン・フォックスが在籍していた前作「システム・オブ・ロマンス」が大好きだったがゆえに、この「ヴィエナ」に関しては、「まぁ、これはポップだし売れるよね」ぐらいの冷ややかな賛美しか送らなかったわけですが、ひさびさに聴き直したら、さすが完成度高い重厚で堂々たるシンセ・ロック(あえて、こう言う)っぷりに唸りました。ミッジ・ユーロのフロント起用は大成功といえるでしょう。


なんといってもバンドという形体をとりながら、ベースはひたすらシンセベースでゴリゴリ弾きまくるシンプルさがよいです。プロデューサーに数多くのジャーマン・ロックを手がけたコニー・プランクななではの音色が、すべてのアレンジに渡って展開しています。やはり初期は、バンド名のシッポに「!」が付いていただけあって、「ノイ!(NEU!)」の影響は大。このシンセベースの方法論はYMOにも受け継がれました。


クラフトワーク的なシンプルなリズムに囁きボーカルが載った「MR.X」から、ヴァイオリンの使い方が後のエコー&ザ・バニーメンのにような「Western Promise」(教授がサンストで流して有名に)、哀愁のバラードテクノ「Vienna」から、これぞウルトラヴォックス流ロックの完成系「All Stood Still」。この後半の流れは完璧すぎます。日本でヒットした「New Europeans」のイントロのギターのカッコ良さにソクソクした人、多数。